月のうろこを食べるへび

マトモじゃないわたしがマトモに生きようとする奮闘記。夢の記憶、どこかで見た景色、ふと感じたこと。思うままに書いていきます。

タクシーの神言葉

深夜タクシーと昔の話

2015年8月8日早朝2時過ぎ

久しぶりに深夜タクシーに乗った。

 

乗り込んだタクシーは

ちょっとおじさんの(もっと言うとおじいさんの)匂いがした。

 

「窓を開けていいですか?」

 

行先を告げた後、

気を使いながら、少しだけ窓のガラスを下げる。

 

乗り込んだ場所は

私の家から10㎞以上離れていたけど、

 

偶然にも

おじさんのタクシーの車庫が

私の家の近くらしい。

 

おじさんは私の住む町に詳しくて

明治のころからの歴史や

埋め立てられる前の海岸線の位置なんかを

話してくれた。

 

当然だけど、おじさんの子供のころとは

ずいぶん景色が違うらしい。

 

私はそれを聞いて、

少し嫉妬を覚えた。

 

私は自然と融合しながらも

高度な文化を育てている土地の

 

洗練された、かつ柔らかく偽りのない空気が

とても好きなのだ。

 

今の東京でそんな場所を見つけるのは難しそうだけど

昔の東京は、私の理想にとても近い気がした。

 

もう出会えないけど、かつてあったもの。

 

私は出会う人から時々、昔の東京の話を聞く。

 

浅草や赤坂や品川。

文化と自然の調和がとれた街の空気に触れるたび、

その当時を生きた人に、少しだけ嫉妬を覚える。

 

タクシー運転手さんの神言葉

タクシーのおじさんが

 

小学校の英語の先生のスパルタ的教育を思い出し

(テストの答えをはがきに書かせ、両親あてに送ったそうだ)

 

かつて行った青年海外協力隊での日々を思い出し

 

原子力は周辺国への核の抑止力になっているとか、

地下鉄は装甲車が走れるようになっているとか

 

そういう話題になっているころ

ようやく私の家の近くに着いた。

 

料金を支払い、

私がタクシーを降りてもなお、

おじさんは話すのを止めない。

 

世界は多方面からみなくちゃいけない。

日本にいて受動的にばかりなってはいけない。

自分でものを考えなくちゃ。

 

みたいな話を10分くらいした後、

 

さすがに聞き疲れた私が去ろうとすると

おじさんはこう良い捨てて帰って行った。

 

「すべては、バランスなんだよ。

 私も半分いい人だけど、半分悪い人なんだ。」

 

前日、ショックを受けて落ち込んでいた私には

とても響いて、なんだか神言葉みたいだな、と思った。

 

話には根拠が欲しい

おじさんの知識がどこから来るのか、

 

興味がある話題だったから

私は「どうすれば調べられるんですか?」と聞いても

おじさんは何度もはぐらかして話を変えた。

 

書く勉強をしていると

「根拠」というのがとても大事になってくる。

 

話には根拠が欲しいのだ。

 

創造物なら別だけど。

 

話にはオチも大事だけど、

今の私はオチよりも根拠の探し方を知りたい。